「知識は健康にしない」
聖路加病院の内科医、日野原重明さんの言葉です。もちろん、
日野原さんは知識が不必要と言っておられるのではありません。 今、
巷には以前には考えられない程の情報が氾濫しています。
それらの情報から得られる知識を、自分自身で分析、
昇華させて智恵として身につける事が大切であるといっているのです。 ひとつの情報源については、
二つの発信方法があります。
ひとつはそれをありのままに伝える真摯な伝道方法です。
一方、それにスポンサーをつけて利潤を求める経済優先の発信をしているものが多々あります。 臨床環境医の三好基晴さんは、その著書
「ウソが9割、健康TV(リヨン社)」
の中でいくつも例を挙げて警鐘をならしています。 今年前半の
「あるある大辞典」
だけをとり上げてみても、
納豆によるダイエット情報を始めとして捏造報道は枚挙にいとまがありません。 これらも、
テレビで報道されるずっと以前から、教育番組評論家の鷺一雄さんが
「またあるある大辞典にだまされた(三才ブックス)」でつとに指摘し
ているところです。 平成十九年一月十九日の週間ゲンダイ紙は
「納豆ブームのあほらしさ」
というタイトルで、「TVもTVだが信じる方も信じる方」と評していますが、
これが妥当な見解ではないかと考えます。 国民の「民」という字は、
人間の目を針で突き刺して盲にする形から出て、眠(目がみえない、眠っている)
の原字であるといいます。 終戦後六十年あまり、私どもは経済優先のマスコミ報道に盲目的に隷従して眠らされてしまってはいないでしょうか。 それが、心身ともの健康を損ね、
医療費の増大を招いているのです。いまこそ、日本の伝統文化に基ずく智恵を復権し、
それを次の世代に譲り渡していただきたいと念じます。 |