建国以来、昭和二〇年までは、和文化(日本文化)の智恵は世界に冠たるものがありました。日本古来の文化の智恵に加えて、時代の流れに応じて異文化も徐々に取り入れ、その異文化の智恵も和文化に同化させてゆきました。
その和文化の智恵を作り上げてきたのが、秀逸な日本人の民族性であり、営々として和文化の智恵を積み重ねてきました。
その和文化の智恵の高さを支えるもととなったのは、基本的にはひらがな、日本の漢字に基づく日本語であり、それに加えて中国から伝わった漢字・漢文でした。
そうした和文化の智恵の高さを、もっともよく弁えしかもおそれたのは、太平洋戦争で日本と三年八ヶ月間戦ったアメリカでした。
終戦後、アメリカは優れた和文化の智恵を劣化させることにあらゆる努力を傾注しました。
それが、昭和二〇年から昭和二七年にわたる占領期間中に、GHQが行った和文化の欧米化計画でした。この占領計画を一部の人は「日本人獣化計画」とまでいっています。
昭和二七年に占領が解除された時、日本の将来を憂えた人々は、終戦前の和文化の智恵を取り戻すべきだと主張しました。
しかし、そうした正論は、経済発展を妨げるという理由で排除され、正論を唱えた人は左遷されたり職を解かれたりしてしまったのです。
それから六〇年近く、企画したアメリカの予期以上に欧米化が進められ、かつての和文化の智恵が崩壊への道を辿っているのが悲しい現状です。
いまこそ、終戦後の和文化の急激な欧米化という誤った流れをしっかりとみつめてそれに歯止めをかけ、昭和二〇年まで連綿として培われてきた和文化の智恵を取り戻すように、最善の努力をつくしていただきたいものと切望いたします。 |