本年四月からメタボリックシンドロームの健診が行われるようになり、臍の上の腹囲で男性が85cm以上、女性が90cm以上あった場合には医者の管理下におかれるようになります。一言でいえば肥満の対応といえるでしょう。
こうしたことは終戦(昭和20年)前には考えられなかったことでした。成人病という名称も昭和20年代まではありませんでした。
なぜ、このような体形の大形化、ひいては肥満が問題になるようになったのでしょうか。
これは昭和20年を境として、日本人の食生活が急激に変化してしまったことによります。その源は昭和20年から27年にかけてのアメリカ占領軍の占領政策に発します。
太平洋戦争を通じて日本民族の優秀性を知ったアメリカは、終戦後、それを劣化させるためにさまざまな政策を試みました。
食に関しては、「大きいことはいいことだ」「蛋白質が足りないよ」などといったキャンペーンを張り、本来の日本人の体形(身長は男子一五〇cm台、女子一四〇cm台)の大形化に務めました。
そのため、戦前にはあまりとっていなかった動物性食品(牛乳・乳製品・肉・卵など)の摂取をすすめ、それに伴って体格が急激に大形化してしまったのです。
このアメリカ占領軍による政策は、占領が解除されてからも、経済性優先の日本政府によって引き継がれ現在に至っています。
身長が大きくなることは決して悪いことではありません。それがあまりにも急速であるところから、肥満を始めさまざまな疾患が生み出されていることを認識し、それに歯止めをかけなければなりません。
古来「腹八分目は健康の源」「暖衣飽食、病の源」などといわれつづけてきました。
たった六十年前まではしっかりと守られていたこうした先人の知恵を身につけて、心身ともに健康な一生を送っていただきたいものと願っております。 |