ヒトは地球上で生活する哺乳動物の一員です。それぞれの哺乳動物は、その生活リズムによって昼行性の動物と夜行性の動物とに分かれます。
いうまでもなく、ヒトは昼行性の動物です。その理想的な生活リズムは、日の出とともに起き、日の入りとともに眠りにつくことです。わずか六十年ほど前まではそれに近い生活リズムが保たれていました。
いまや、それが大幅に夜型にずれこんでしまいました。東京都の場合、四歳児の半数以上の就寝時間が午後十時過ぎという惨状を呈しています。武蔵野市の中学三年生の半数は十二時過ぎまで起きています。
本来、昼行性であるべきヒトの生活が夜型にずれこむことによって、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れてしまいます。ホルモンの分泌も乱れます。そこから心身ともの健康を保つことができなくなり、様々な病気が生み出されるのです。
この現状を改善するにはどうすればよいのでしょうか。もっとも大切なことは、乳幼児のうちから、夕食後の明かりと物音に心を配ることです。
夕食後の室内が明るくなりすぎてはいないでしょうか。終戦(昭和二十年)以前には、子ども部屋には明かりは枕元に一つだけでした。そこで子どもに絵本を読んだり、子守唄を歌ったりしていたものです。
私事ながら、私は夕食後、読書や執筆を終えてからは、電気を消してろうそくに変えていますが、大変気持ちが落ち着きます。
なるべく物音を立てないようにすることも大切です。空調設備・蛍光灯・クォオーツ時計・携帯電話・電子レンジ・冷蔵庫など、大人が気にならなくなっている音も、能力の高い子どもにとっては大きなマイナスになることを知っておいて下さい。
こうした点に留意して、夜更かしの子どもを育てないようにしていただきたいものです。 |