テレビゲームによる脳への障害が問題視されるようになってきました。 日本大学の森昭雄教授は、
テレビゲームをしている人の脳波が変化すること、
しかもその変化は劇的で驚くほどはっきりしていることを確認しました。 テレビゲームをしている時の子どもの脳波は前頭前野の働きが低下していき、
β波の出現状態がα波のレベルにまで低下し接近するようになります。ゲームをする時間が永ければ永いほどβ波とα波のレベルが完全に重なってしまいます。 実は、
この脳波と同じような波形を示す脳波があるのです。
それは呆け老人、痴呆症の脳波なのです。 テレビゲームに熱中している子どもたちは最近増えてきている二十歳代、三十歳代の若呆けの予備軍ということ
がいえます。 いまにして歯止めをかけなければ、若呆けを始めとして、
異常行動や犯罪に走る人が増え続けていくことでしょう。 それも当然です。
テレビゲームは設定されたプログラムに従い、
他動的、瞬間的に手を動かします。したがって、
脳の回路に思考力が入りこむ余地はありません。
手の機械的な運動にはなっても脳の発達には無縁です。 思考力に関しては、
珠算と電卓、書道とパソコン、折り紙とプラモデル、手紙と携帯電話などについてもいえます。
前者は頭の働きを要しますが、
後者は機械的な操作だけで考える力を要さないものです。
そのどちらを選ぶかによって子どもの思考力に大きな差がついてきます。 そうした意味でも、
二十一世紀を担う子どもたちの未来を守るために、
テレビゲームの氾濫に歯止めをかけること、
できればやめることを望まずにはいられないのです。
(参考文献)
森昭雄:ゲーム脳の恐怖(日本放送出版教会) |